記事掲載日:

2025年12月15日

金融業界の厳格なセキュリティ基準をクリアし、AI導入を実現。三菱UFJファクターが語る「AI活用の第一歩を踏み出す」ことの重要性とは

三菱UFJファクター株式会社

従業員数:

600名(2025年3月31日現在)

課題:

セキュリティ面がネックとなり、AI活用が推進できていなかった

労働人口減少の深刻化が叫ばれるなか、多くの企業が限られたリソースでどう業務を回すかという課題に直面している。

 2016年からSalesforceとmitocoソリューションを活用し、業務効率化を推進してきた三菱UFJファクター株式会社もこの課題と向き合い、本格的なAI導入に踏み切った。

 金融機関として高いセキュリティ要件が求められるなかで、同社はどのようにAIの導入を進めていったのか。三菱UFJファクター株式会社 企画部 部長の福島衝氏に、「mitoco AI」導入に至る経緯から現在の取り組み、今後の展望まで詳しく伺った。


マニュアルや社内手続きが複雑で、必要な情報を探すのに時間がかかっていた

――会社の概要を教えてください。

当社は三菱UFJ銀行が100%出資するMUFGグループの一翼を担う企業であり、約600名の従業員で事業を展開しています。お客様の与信管理や債権保全、売上代金回収、支払事務合理化に役立つ金融サービスを提供しており、ファクタリングや代金回収、電子債権の3つが主要業務です。

 私は企画部に所属しており、成長戦略の立案や計画策定、予算管理、新事業開発といったプロジェクト推進のほか、業務効率化のための取り組みなどを行っています。今回お話しさせていただくmitoco AIの活用も私のいる企画部が中心となって推進しています。

――mitoco AI導入前はどのような課題がありましたか?

社員からマニュアルや手続き方法が煩雑で探しにくく、必要な情報を探すのに時間がかかるという声が数多く寄せられていました。業務効率化に向けてAIを導入するにも、当社には幅広い年齢層の社員が在籍しており、社内におけるITリテラシーの差をどう埋めるかも考慮しなければならない状況でした。

 さらに、ナレッジの共有方法にも課題を感じていました。社員同士で直接ノウハウを共有できる数年前までとは異なり、リモートワークが普及した現在ではナレッジ共有がうまく進められていませんでした。特定の社員に仕事が集中してしまうのを避けるため、誰もが簡単にストレスなくノウハウを共有できる仕組みが必要だと感じていたのです。

金融業界の高いセキュリティ基準をクリアできたことが、導入の決め手となった

――mitoco AIを導入した背景と経緯を教えてください。

mitoco AIは2024年の後半から本格的に検討を始め、2025年9月より利用を開始しています。利用前から業務にAIを活用したいと考える社員は多く、社内手続きやマニュアル検索の利便性を上げてほしいという具体的な要望も寄せられていました。

 社外を見ても、顧客や同業他社がAI活用を本格的に進めており、当社もキャッチアップの必要性を強く感じていました。また、MUFGグループ内でAI推進の流れが大きくなりつつあることもあり、当社も乗り遅れるわけにはいかない状況でした。

 当社は以前よりテラスカイと取引があり、mitocoシリーズを既に活用していたことも導入の後押しとなりました。2016年にSalesforceを導入した同じ時期に採用したmitocoは、現在までその利用範囲も拡大を続けています。

 現在のmitocoの活用方法としては、社内文書や手続き等のマニュアル管理、Salesforceと連動した顧客情報管理、そして紙や印鑑を廃止した社内ワークフローなどがあります。当社はmitocoなしでは業務が回らないほどmitocoを積極的に活用しており、従来から使用しているmitocoの中にAIを組み込むことができる点は大きな魅力でした。

――mitoco AI導入のきっかけとなった決め手は何でしたか?

金融機関として顧客情報管理が信頼の根幹となるため、セキュリティ面をクリアできる見通しが立ったことが大きかったと感じています。

mitoco AIのセキュリティについて社内関係部署と協議を重ねた結果、外部への情報漏洩リスクは限定的との結論を得たうえで導入に踏み切りました。

また、UIについても毎日使用する業務画面にmitoco AIが組み込まれているため、社員にとっても非常に使いやすい設計になっています。

さらに、既存のmitocoとシステム面での親和性に優れている点も導入を後押しする要因になりました。すでに業務で活用しているmitocoとの連携もスムーズで、導入後すぐに使える手軽さも魅力的でした。

三菱UFJファクター株式会社 企画部 部長 福島 衝 氏

――その他に、mitoco AIの導入を決断できた理由があれば教えてください。

さまざまな理由がありましたが、半年後にはAIの世界も変化しているという危機感も導入を進めるきっかけになりました。

 これから時間が経過すれば、さらに新しいAIサービスも登場し、ますますAIの活用を推進する企業が出てくると思います。そのような状況の中で、なるべく早くにAIを業務に組み込み、社員にAI活用に慣れてもらう必要があると感じたのです。

 また、AI活用を推進せず、古いシステムだけで業務を行っている状況では、新卒などの若年層の採用難や就業後の定着率低下にもつながりかねません。AIの導入により企業の魅力向上につながったとも考えています。

──mitoco AIを導入した際に苦労したことはありましたか?

営業データを活用するための社内データ整備と、AIが適切に回答できるように調整するチューニング作業は、セキュリティ面の課題があって自動学習を思うように活用できないという事情があるとはいえ想定よりかなり大変ですし、現時点でも苦労しています。導入前にもう少し理解を深めておけば良かったと反省しています。

 例えば、営業でリード管理や集計、進捗管理にAIを活用するためには、社内に蓄積されたデータをAIが読み込める形式に整える必要があります。しかし、事業本部制の当社には、各事業や営業、社内システムにおいてそれぞれのスペシャリストがいても、すべてを横断して理解している人材が見当たりませんでした。時間的な余裕もなかったため、私のチームが代表して社内の意見を集約し、テラスカイと協力しながら進める体制で導入を進めていきました。

 また、導入初期の段階ではAIから期待したほどのレスポンスが得られず、試行錯誤を繰り返す必要に迫られたため調整にも時間を要しました。

 しかし、このプロセスは当社にとってメリットも大きく、社内データを読み込ませる際に社内文書やマニュアルの見直しをしたり、AI検索に適した形にデータを整理する必要性に気づくこともできました。また、不要な文書の見極めをすることにも繋がりました。

mitoco AIの導入により、検索時間の短縮や利用者の増加に成功した

──導入後はmitoco AIをどのように活用していますか?

現在は社内手続きとマニュアルの検索にmitoco AIを活用しています。mitoco AIを導入する前は、目的の情報まで辿り着くのに時間がかかりましたが、自然言語での検索が可能になったことにより、情報を得るまでの時間も大幅に短縮された、という反応も多いです。

──AIの活用方法について、貴社の方針があれば教えてください。

AIを活用するにあたり、当社では4つの段階に分けてAIの活用を進めています。

第1段階として実施したのは、AI活用のための土壌づくりでした。社内にAIを使う雰囲気を醸成するために、社内セミナーやMUFGグループ内のAI関連イベントへ参加し、AIの重要性を社員に感じてもらいました。

第2段階は、実体験を通じてAIに対する苦手意識や抵抗感を払拭することを目的としています。現在はこの段階の途中であり、今後はAI活用のレベルを引き上げる第3段階へと進める予定です。

第3段階では、利用範囲を営業・マーケティング・審査などのさまざまな部署に広げていき、高度な活用を目指します。

そして、最後の第4段階ではAI活用を定着させ、業務改革につなげるための更なる活用方法を実践していきたいと考えています。

──mitoco AIの導入によりどのような効果がありましたか?

mitoco AIの導入後、大きく3つの成果が表れています。

1つ目は検索時間の短縮が実現し、導入前に社員から要望されていた検索時間の問題を大幅に改善できたことです。2つ目はAIを活用する社員が増えたことです。導入から約2ヶ月経過した時点で、約600名いる社員のうち約2割がmitoco AIを活用するまでに至りました。3つ目はマニュアルの整理が進んだことです。検索に適した形に文書の管理方法を整理する過程で、社内手続きの棚卸しができました。

AIを利用している社員の反応を見ると、まだ改善の余地があると感じています。積極的にAIを活用している社員からは、検索時間の短縮以外にもSalesforceのデータを分析したり、アウトプットしたりする段階まで、高いレベルで活用したいというリクエストも多く存在しています。

ただし、社員に定着させるためには段階的なアプローチも必要ですので、まずは着実に進めることを意識しながら取り組んでいきたいと考えています。

バックオフィス業務でのAI活用を推進していくだけでなく、社内ノウハウの共有にも活かしたい

――今後やっていきたいことや挑戦したいことを教えてください。

今後は、営業業務やバックオフィス業務へのAI活用を拡大していきたいと考えています。AIはリスク管理や審査といった業務にこそ向いていると感じており、次に取り組むべき領域として検討しています。

 その中でも特に注力したいのは、ノウハウや知識の共有です。例えば、ある営業担当者が壁にぶつかったときに、同じような提案や業種で成約している人がどのようなプロセスや交渉を経てきたのか知りたい人は多いはずです。隣の担当者にすぐに聴ける環境であれば良いのですが、リモートの環境など、そうではないタイミングも多くあります。そのようなニーズに向けて、AIに聞けばすぐ答えに辿り着く環境を整えることで、コミュニケーション上の心理的ハードルも低くなり、営業力の強化も目指せると考えています。

 また、AIへの抵抗感をなくし活用を進めるためには、社員の期待に応える体制づくりが欠かせません。日常生活で生成AIを使っている社員も多いため、質問すれば整理されたデータが返ってくるイメージを持っている社員も多いです。その期待に応えられる環境を構築することが、AIを推進するための重要ポイントだと感じています。

――最後にmitoco AIの導入を検討している企業に向けてメッセージをお願いします。

これからの時代において、「AIの活用を推進しない」という選択肢はないと感じています。半年後にはAIの世界も変化しているという危機意識が、私たちを突き動かしました。完璧を待っていては取り残されてしまいます。

当社も試行錯誤を繰り返しながら段階的にAI活用を進めています。その中で重要なのは、まず一歩踏み出すことだと思います。そして、AIの活用によって創出できた時間を、新しいビジネスやお客様のことを考える時間に向けていくことが重要です。

当社もセキュリティの担保がネックとなり、なかなかAI活用に踏み出せていませんでした。mitoco AIはセキュリティ面も安心ですし、AI活用のための一歩がなかなか踏み出せない企業は、ぜひ一度、mitoco AIを検討してみていただければと思います。

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会社プロフィール

三菱UFJファクター株式会社

所在地:

東京都千代田区

事業概要:

ファクタリング業務、代金回収業務、でんさい一括ファクタリング業務。

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